106「荒野」

少し掴んだだけで 消え去る木枝
この木枝と同じように 人も消えてったの?
その辺どうなんだろう
僕に分かるかな


人が住んでた痕跡 枯れてしまった草木
廃墟と化した病院 焼き尽くされた心
何がどこにあって 何が此処にあるだろう

人が嫌う雨でも この場所には恵みに
きっと元に戻るさ そう祈りながら
この雨を受け取った

荒れ果てた荒野に 一つの花を植えつけよう
ちゃんと育つか 心配な面はあるけど
きっと育ってくれるさ
如雨露の中の粒を 与えよう


僕が踏んでいる地面 靴は泥だらけになって
穴だらけの母屋 折れ曲がった鉄筋
崩れかけた運命が 今此処にあるんだろう

人が流す涙をも この荒野に吸い取られ
そしてまた涸れる その繰り返しが
この地を作り上げてく

雨の降らぬ荒野に 世界の潤いを与えよう
いつまで保つか まだ分からないけれど
以前の姿に戻れる?
如雨露に詰めた潤い 浴びせよう



底なし沼に 腕を伸ばして
君を助けに行こう
どんなに深くても どこまで苦しくても
きっと探し出す



人のいない荒野に 一つの命を添えよう
出てくるまでは まだ掛かるだろうけど
いつか立派になるだろう
如雨露の中に思い 入れてみよう


少し握っただけで 崩れ去る夢
儚い夢と同じように 人も消えたんだろう
そうじゃなかったとしても
僕には分かるよ
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