125「あの日、桜の下で」

桜が満開に咲いて 君と二人で見に行った
「どこにする?」「ここにしよう」
平凡な会話も 今じゃ思い出に

降り続く雨の中に シートの上 君の姿
「いつからいたの?」「ずっといたよ」
言葉に出来ぬ物が 脳裏をよぎってた

桜の雨 いつまで続く?
もう止んでくれたっていいじゃん
こんなに纏わり付いて
僕らを いじめるの?

木から花が離れるように 君と僕も離れてた
これが最後のとき きっと忘れない
あの日、桜の下で
君と話したことを…


散りきった桜の下に テント組んだ 君が寝てる
「まだ眠ってる?」起きてない君を
取り戻させるように 語りかけていた

桜の木 まだ生きている?
これからも街を見てるんだろう
風に花 震わして
僕らを 誘っている

花から滴が垂れるように 僕らも時を過ごした
滴が落ち行くとき 僕はもういない
あの日、桜の下で
君と逢ったことを…



桜の雨 まだ止んではくれない
降り続く その向こう
君の陰が見えた



枯れ葉になり落ちるように 僕も底へ落ちていた
花が踏まれてしまう時 僕はどこかしら
あの日、桜の下で
僕らは消えたの…
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