141「暗海」

足をバタつかせて 必死にもがきながら
水面を目指す
息が切れそうで 混乱してる僕を
救い出すため

今どこにいるの? どれだけ深くに?
目を閉じたまま 海底を見てる
生き物が僕を 奥へと誘い込む

陽の光も忘れて 暗い海の中
無重力にいるような そんな感覚で
海底かそれさえも 分からないまま


紫の唇は 海への恐怖と
哀れみを表す
ゴーグル失くして 泳いでいる僕を
誰が見つけだす

ここは水の中 ここは海の底
海岩に触れて 海を蹴ってる
暗海が身体を 中へと連れ込む

風の音も感じぬ 暗い海の底
水を切るだけの 小さなことで
もし切ったとしても 何もないけど



暗海の中を 泳ぎまわる生き物
キレイなのもいれば 汚れたのもいる
そんなもんさ



音すらも聞こえぬ 深い海の中
光は遮られ 身体も動かず
海底に一人 残されたまま
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