153「my voice」

耳を塞いで 口も閉じて
音を遮断する
この声さえも 聞こえぬほどに


パーカーの帽子と 防音のヘッドホン 白いマスクまで
外に出れば不審者 家の中でも怪しいが
このぐらいしか 避ける術もないほど

両耳の鼓膜を どっちも取ってしまえよと 僕が言う
外からの音も 身体に響く声も 全てからおさらば
それも悪くはないかな

僕の声と君の声 どっちが美しいなんて
比べるまでもないだろう
この声に泣いてる僕は 酷く臆病で
愛しく思ったことなどないから


防音の部屋で 音のないケータイ 口にチャックして
外に出ても音はなく 部屋に篭って途方もなく
きっと何もかも 捨てちゃいそうになるけど

その喉の声帯を 使えなくしちまえよって 僕は言う
外にこの声も 僕に僕の声も 一度も聞かさぬよう
それで苦が消えるなら

僕の声と君の声 どっちが良いかなんて
決めるまでもないのに
その声に泣いてる僕は それが信じれずに
声を疑っているくらいなんだよ



日々を包み込む 音の塊 それに押されてる
耳を塞いでも 止まない音もある
それが僕への 一番の敵で



僕の声と君の声 似通っていることもない
それだけは分かってて
この声を出さない僕は ホントは震えて
声を出さないだけなのかも

耳を塞いで 息を殺し
音を断ち切る
心臓の音も 分からぬほどに
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