181「旅人」

雨の中 横笛を奏でながら
こちらに一人 ひっそりと静かに
身を寄せている
彼が誰かは 誰も知らない

下駄の音は鳴り響き 雨の音と絡まった
今のタップダンスのような そんな感じで

いつもより多く刻んで 綺麗な光景作り出す
周りから見りゃ変だが そいつは必死になってる
オイラもそいつへ近寄って 賽銭入れてやってさ
やさしくて良いやつって オイラのことだろ?


滝の付近 水飛沫浴びながら
こちらに一人 ゆっくりと怪しく
身を潜めてる
オイラ知らず 彼は旅人

足音は滝に掻き消され 狭い隙間に挟まった
何かで例えるのならば ハムスターみたいな

消えるようにスッと歩いて いないかのように振舞う
周りから見えてるか知らんが そいつは汗だくでやってる
オイラはそいつを見守って 最後まで見てやってんで
こんなオイラにもさ 旅人は気取れる?



侍のように強くはない 女子供よりゃ強いんだ
そりゃ男ってやつは 守るためにいるからよ
それができて普通なんさ



村の中 太陽照られながら
こちらに一人 一歩ずつしっかり
身体運んでる
みんな騒いで 彼は独りで
inserted by FC2 system