205「サマディ」

夏の日の夕立 折り畳みもないから
しのげる場所まで走って それからどうしようか

小さい頃 履いていた 買ってもらった長靴
今はもうないけれど 濡れないのは良かったな
小さな傘 恥じていた 子供用のキャラ物
とっくに捨てたけれど 良い思い出になってる
僕も買ってやるのかな

雨の日のメロディ 街中から聴こえる
傘に落ちる音 地面に落ちる音
明るい音もあって 街を取り込んでる
あがった後の虹は 譜面のよう


真夜中の大雨 音だけを頼りに
その強さを把握して 我が家へと急いでく

幼き頃 好いていた あの子と相合傘
きっともうどこかで 幸せになっているかな
大きめカッパ 余分なの 特に長い袖はね
今は合うけれど 当時はブッカブカでね
今は黄ばんでいるかな

雨の日のサマディ 光を少し切ってる
傘を差すか迷う 細かな雨が降る
時に強く降って 僕らは困ってる
あがった後の道は 水面みたい



地面や 傘や 植物や 皮膚に
落ちる瞬間を 考えたことはない
けど 雨粒のような透明な
心は持っていたいな



雨の日のメロディ 何かの曲に聴こえる
落ちる先の器 落ちる時の深さ
明るい音もできて 重低音もできて
あがった後の水で メロディ完成
inserted by FC2 system