238「零れた」

赤色の薄汚れたハンカチ 持ち主を探して汚れた
大人っぽくはなくて 少し子どもっぽい感じ
それでも結構 使い込んである

ポケットからはみ出た 思い出の一つが
落ちて消えてくのは もったいなくて
君から離れた 髪の毛一本も
落ちて忘れられて 捨てられて

配られたカードの1枚が その君を形取(つく)ってて
そこについた傷跡は 過去の君を思わせて
傷んでいるほど 君が何か背負ってる
そんなのが分かるんだよ


緑色の広く澄んだ森を 勘を頼りに歩いた
動物は僕だけ 周りに人気(ひとけ)は無し
それでもどこか 開拓されている

初陣から崩れた たくさんの経験が
他人に盗られるのは 悔しすぎて
僕から落ちた 言葉の一つも
踏まれて掃かれて 見失って

貯められた記憶の一部で この僕は生成(つく)られて
それを継ぐ記憶で 今の僕を維持して
積み重なるほど ここまでの軌跡がある
それも記憶されてんだ



零れ落ちて 土に埋まって 芽となって 育って
枯れ落ちて 踏まれて ペシャンコで なくなって
それの連続
inserted by FC2 system