257「tree」

川沿いに一本の 何かの樹が生えてる
季節を超えて 年月を超えて
今何歳になる? 逞しくなっちゃって

国に保護されるような そんなご長樹ではないけど
いつもそこにいて いつも見てくれて
いつも陰作り いつも揺れていて
いつも 皆を楽しませた

親父にガキの頃から 家の壁に 身長示すよな
そんな思い出があるけど
君にそんな傷跡は 誰一人も つけはしないだろう
そう思ってんだよ


夏場には虫のため 身を張って生きてる
真夏に入り 苦しさに勝って
今何度目なの? すっかり太くなって

簡単にゃ切られないと そんなおせっかい要らないかな
今もそこに立ち 今も育ちつつ
今も鳥たちに 今も身をあげて
今も 風突き抜ける場所

軒下の鳥の巣から 空へ出てく 小さな鳥のよに
飛んでいけたらいいんだと
ずっと思っていたけど 飛べはしない ジャンプが限界で
夢は崩れる



親父にガキの頃にさ 樹を切ってさ 竹とんぼ作った
そんな思い出があるけど
君は切られちゃうのかな 枯れたあとに 何かになるために
それが心配で
涙が土に落ちてった
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