292「栓」

栓は流れを止める　水を溜めるダムのように
話を進めないよな　そんな卑怯なやつには
引っかかるなよと

山にある村に　被害を与えるほどの
デカイ放水なんて　馬鹿らしくて失笑もの
日本の遠い海里　そこまで流れんのかと
多少は流れるかもと　くだらんことを考えて

ひとつの穴が開いて　そこへ流れ込むように
人は群がって出て行く
電車のドアが開いて　近くのドアに集中
押し合いながら外へと


栓は流れを止める　ホースを指で押さえるよに
スムーズに流れない　微妙な空気作るのは
ナンセンスだぞ

この川の先に　小さな集落がある
その集落はキレイで　思わず空気を吸うほど
海に広がる青に　土砂も紛れていくのと
岩が転がるのとでは　かなり違ってくるようで

針で穴を作れば　少しばかりではあるが
確実に外へ出てく
宇宙船に穴ができ　宇宙に流し出され
宙(そら)の藻屑になっていく



ひとつの穴が開いて　そこへ流れ込むように
人は群がって出て行く
針で穴を作れば　少しばかりではあるが
確実に外へ出てく