31「手袋」

あの小さな手袋
君が忘れてったろ?
僕が届けに行くから 君は待っていてくれ

雪積もる冬の道路
とても滑りやすくなっている
白く濁った空に向け
冷たい手を差し伸べる

僕の手に乗った雪が 静かに溶けてった

手袋をはめて 夜の雪道を駆け走る
息が白くなっても そんなの気にしてらんない
早く君の元へ 手袋を届けるために
寒い世界を走ってく


あの網かけの手袋
君のものなんだろ?
僕も手伝っていいかな その方が早いでしょ

雪降る冬の空
すごく季節を感じてくる
かじかむ手を温めて
手をポケットに入れておく

僕の服に落ちる雪は 僕を冷やしてく

手袋を落として 手に取ろうと拾うけど
溶けた雪が染みて 手袋も冷たくなってる
動かぬ手を理由(わけ)に 寒さをしのぐために
暖かい場所へ駆けてく



冬の外は雪のように冷たくて
人々の体を冷ましてく
それが冬ってものだろう
僕はそれを認めたくないけど



マフラーをつけて 手袋をつけようとしても
手が言うことを聞かずに なかなか入らなくなってる
冷たい外から逃れて 暖めなおすために
再び家へ戻ってく
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