406「月見花」

夜の風に花びらは揺れて
花の香り空へ運ばれて
月が見える頃に咲き乱れ

枕元に花舞い降りて
僕の手に入り込んで
美しい色に酔い痴れて
なぜに身体熱くなる?

嗚呼 月見花よ
満開を避けて散るなよ
嗚呼 月見花よ
そんなに夜が苦手かい?
優しくしてあげるさ
だから姿を見せてよ


夜の闇に姿を隠して
どこからともなく音が聞こえ
音はどこか遠くの方まで

柔らかいものが頬かすり
僕の顔の横に落ち
柔らかいものを知らぬ間に
僕の手は握りしめる

嗚呼 月見花よ
なぜにそんなに柔らかい?
嗚呼 月見花よ
僕のそばに来ておくれよ
その美しい顔を
また見させてくれないか



昼には咲くのに
夜はなぜ照れるの?
僕には分からない



嗚呼 月見花よ
満開を避けて散るなよ
嗚呼 月見花よ
そんなに夜が苦手かい?
優しくしてあげるさ
だから姿を見せてよ inserted by FC2 system