46「弱虫」

蚊のなくような か細い声で 僕に何かを訴えてる
何を訴えかけているのか 僕には分からないけど
必死さだけは確かに 僕の心まで伝わった

弱虫で何が悪い? そう強者に聞こうとも
耳すら傾けてもらえない
これが弱虫の鉄則? そんな鉄則はいらないから
主張する権利をあげてよ

弱りきった虫のように 動けず苦しんでいる
それでも力を出して 気合で地を這う姿は
強者顔負けのものだろう
弱虫でも自分を奮い立たせれば
それだけで十分だろう


喉をつぶして 小さな声で 僕に何か言ってる
何を言っているのかは 小さくて分からないんだ
唯一分かるのは微かな 君の心の中だけ

泣いてばかりじゃダメだろ そう同士に言われても
耳を傾けてやれない
それが弱虫ってもんでしょ そんな常識は結構だから
弱虫を抜ける術を教えて

踏まれた落ち葉のように 粉々にされている
形は崩れていても 元に戻ろうとする姿は
強者も驚くことだろう
弱虫でも元の自分に戻れれば
それ以上は望まないよ



手を差し出して 怯えた声で 君は何か言ってる
怯えすぎている声は 震えすぎて聞き取れない
唯一分かってやれること 君の状況だけなんだ

蹴られたボールのように 原型を留めてない
外見は歪んでても 中身が強い君は
真似できぬ力を持ってる
弱虫でも簡単に崩れなければ
それはもう弱虫じゃないよ
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