542 「泪の中のもう一人の僕」
タンスの角に 小指をぶつけ
もだえもがいて 涙目になる

誰も彼も救えないと
気づいてからは やる気なくして
自然と無口になる
僕がいるんだ

泪の中のもう一人の僕は
一時間、二時間と泣いていて
アノ人にその姿を見せるなと
首を絞めて息を殺したんだ


朽ちた樹木に 聖水を掛け
あの陽に委ね 輝かせよう

人一人も救えないと
気づいてからは 日々が重くて
押し潰されかけてる
僕がいるんだ

雨粒に浮かぶ誰かの魂
土に落ちて粉々に崩れて
その粒が泪のようにも見えて
それを見てて胸が苦しくなった



電車のおばあちゃん
杖を付いたおじいちゃん
行動は難しくて
でもやんなきゃいけなくて



泪の中のもう一人の僕は
一時間、二時間と泣いていて
大事な人に涙を見せるなと
涙を拭い平気にしていた
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