667 「沈没船」
沈没船の中に 君が住んでいた
沈没船の奥に 君を見つけた
「誰々を待ってる」と 君は寂しげに
濡れた僕の服を ギュッと握ってた

不思議と息しなくても 苦しくはないんだ
君がいるから僕は 苦しくないのかな?

50年 100年の時を過ごした
ご長寿さんの君からすれば
僕は若造だろうが
気持ちはわかるつもりさ
話してみてよ


沈没船の中に 過去が眠っていた
沈没船の影に 未来が待っていた

君と出会う前から 君のこと知っていた
愛が溢れてるのか 心まで染みてた

世代を渡り語り継がれてきた
幻の存在の君には
人一人はちっぽけだろ?
それでも生きているんだ
君と同じだよ



深い海の底に 深い悩みは置いてきた
トビウオになって
キレイな海を見たいな



沈没船で何十年過ごした
生きた化石の君が言うなら
そんなの馬鹿らしいんだ
それ以上の存在だ
むしろ奇跡だよ
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